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湿板写真で撮影した時の色の話

こんにちは、あかつき写房の本田です。今日は湿板写真で撮影した時の色の見え方の話をしてみたいと思います。

湿板写真って普通のモノクロ写真と少し違った印象に写りますよね。湿板写真らしさとでも言うのでしょうか。周辺の汚れやキズなども湿板写真らしさの要因の一つですがそれだけではありません。実は現代のモノクロ写真とは違う発色をしているのです。その点を解説しながら、撮影時に気をつけていることなどを書いてみますね。それではどうぞ。


湿板写真の発色

湿板写真の感光領域は、光の波長で言うと375nm(ナノメートル)あたりにボリュームがあります。これは紫外線に当たる波長で、実はほとんど見えない光で写っているのです!!

って、いきなり言われてもちょっと難しいですよね。もう少しわかりやすく説明しますね。


虹の色で見ていくとわかりやすいかもしれません。7色の虹を[ 赤・橙・黄・緑・青・藍・紫 ] とすると、紫側の光だと良く写って、赤側の光だとあまり写りません。ちなみにこの場合の赤は700nm、紫は400nmなので、湿板写真で一番よく写る領域の375nmは紫よりも右の光なんです。つまり見えない光で撮影しているんです!!

って、まだ難しいですよね。一言でまとめますと、湿板写真は紫系や青系の色は白く(明るく)、赤系や黄色系の色は黒く(暗く)写るんです!



撮影時に気をつけていること3つ

さて、これらを踏まえて私たちがお客さんを撮影する時に注意していることは大きく3つです。

 

1.衣装の色の組み合わせ

2.衣装の柄

3.メイク


一つずつ例を出して説明してみますね。


1.衣装の組み合わせ

例えば二人で写りたい場合に、衣装が薄い青と濃い赤系などの服の組み合わせになるになると、青が白くなりすぎて飛んでしまったり、赤が黒つぶれしてしまう可能性があります。白飛び、黒潰れはライティングなどで少しは調整できますが、意図せず、オセロカラーみたいな二人になってしまわないように気をつけなくてはなりません。


2.衣装の柄

例えば白地に淡い紫系の模様や青地に白の模様のデザインのものの柄が消えてしまったり、白地にピンクの柄のコントラストがつきすぎて激しいデザインに見えてしまったりすることがあります。また、濃いデニムが白っぽく写ったり、赤いワンピースが黒のワンピースになっちゃったりしますので、思いがけず、地味に見えたり、また派手なデザインになってしまうことがありますので要注意です。


3.メイク

赤やアンバー系のメイクが暗いメイクになってしまいます。つまり、チークやリップに赤を使うと、、、たちまちデスメイクになってしまいます。一方、顔色を良く(明るく)見せようとすると、日焼け止めが効果的です(紫外線を反射するからです!)。メイクをする場合は、ベースに日焼け止めを塗ってからブルーベースで作るのがおすすめです。

とはいえ、せっかく湿板で撮影するのだから、幕末の師匠みたいに浅黒い顔がいい!!という人もおられます。それこそが湿板写真。私たちは歓迎しています。


ただ、、、婚礼の衣装を着た撮影や成人記念の撮影などドレスコードが高い時の撮影ですと、ノーメイクはあまり好まれません(男性もです)。しっかりとメイクをしていただくのが良いでしょう。私たちが手配するヘアメイクさんにはしっかりと湿板写真の特性を伝えてディレクションをさせていただき、お好みのテイストで撮影できるようにさせてもらっています。

そのため、湿板写真とデジタル写真を両方撮影される場合は、メイクチェンジ必須となります。


さてさて、長々と書きましたが、いかがでしたでしょうか。色の出方は素材や質感によって異なるので、正直なところ私たちも撮ってみないとわからない点が多いんです。なので、難しいことは考えずに、自分らしいお好きな衣装を選んでいただくのが一番いいのかなと思っています。ここまで読ませておいてそんなオチでごめんなさい!もし衣装選びに迷われたらこの記事を参考にしてみてください!


 

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